1 総量規制とは

最近,テレビなどでも総量規制という言葉を耳にしますが,金融庁のHPに

よれば,総量規制とは,借りることのできる額の総額に制限を設ける規制のこ

ととされています(今年の6月18日から既に実施されています)。

具体的には,貸金業者からの借入残高が年収の3分の1を超える場合,新規

の借入れをすることができなくなること,とありますが,一方で,既に年収の

3分の1を超える借入残高があるからといって,この借入れが無効になるわけ

ではなく,その超えている部分についてすぐに返済を求められるわけではあり

ません(ちなみに,銀行は貸金業者ではないため,銀行で借りた住宅ローンは

年収の3分の1をカウントするときには含めません)。

また,借入れの際,基本的に「年収を証明する書類」(たとえば源泉徴収票

や給与明細など)が必要となります,とあり,この「年収を証明する書類」を

提出しないと,借りられなくなる場合がある,とも書かれています。つまり,

収入制限が導入されたわけです。

2 現状と問題点

従来は貸金業者が,自主規制として,貸付限度額を設けていたようですが,

法律上の制限はありませんでした。ところが,返済しきれないほどの借金を抱

えて込んでしまう「多重債務者」が増加し,深刻な社会問題(「多重債務問題」)

となったので,これを解決するために貸金業法という法律を改正して設けられ

ることになりました。

とはいえ,この改正にも難点があり,今後昔からある社会問題を再び生み出

すおそれもあります。以下,実際に挙げられた問題点をみていきましょう。

(1)収入が少ない方(専業主婦など)

当然のことですが,収入制限が設けられると,収入がない専業主婦の方は

新たな借入れができなくなります(パートやアルバイトでも収入があれば,

借入れができることがある)。

たしかに,収入がない専業主婦であっても,「配偶者と併せた年収の3分

の1以下の貸付け」という例外を利用すれば,借入が可能になる,とされて

います。しかし,大手の貸金業者のHPを見ると,配偶者の同意を得た上で

貸付けを受ける,ことを認めない,と明示していることが多く,また,現在

借入れをしている方に対して「年収を証明する書類」の返送を求める業者も

増えています。大手の業者が審査を厳格化している影響もあり,「今まで,

返済のため,別の業者から借入れをして回していた」という方が新たに借入

れができなくなって困っている,という法律相談をされる方が増えています。

今まで大丈夫と思っていた梯子を外されたような気持ちになっておられる方

も多いようですが,家計全体の収入が増えない限り,このような自転車操業

を改善することは難しいと思われます。専業主婦の方に限らず,早めに弁護

士や司法書士に依頼して,何らかの形で債務整理をした方がよいでしょう

(安定した収入があるが,破産は避けたいという方であれば,民事再生の申

立てを考えるのも一つです)。

(2)ソフト闇金

最近,利息の払い過ぎ(過払い)を理由に返済し過ぎた分を取り戻せます,

という広告を見にすることが増え,多くの方が弁護士などに債務整理を依頼

していることは伺えますが,とはいえ,自分は払い過ぎ(過払い)になって

いないと思って,今なお,どこでもいいから借りて,返さないと,と考えて

いる方も多いようです。

ところが,(1)で書いたように,総量規制ができたし,収入も少ない,

借りるところがないという方もおられるでしょう。日本貸金業協会によると,

消費者金融などの利用者数は今年の2月末の時点で国内人口の10分の1を

超える1300万人で,そのうち約半数は総量規制の対象となる,とのこと

です。

そこで,問題となるのが,貸金業法に基づく許可を受けていないいわゆる

闇金からの借入れです。元々のイメージでは,取立てが厳しく,利用者が命

を断つケースもあり,手を出さない,というより,手を出せなかった,よう

ですが,最近は取立てを厳しくせずソフトな対応で利用を続けさせるという

ソフト闇金も増えているようです。

とはいえ,ソフトな対応がいつまで続くか分かったものではないですし,

そもそも借入れで生計を立てている状況に変わりはないのですから,やはり

早めに弁護士や司法書士に依頼して,何らかの形で債務整理を進めた方がよ

いと思われます。月給やボーナスがカットされたとか,年金で生活している,

というように,どうしても収入の増加が見込めない方は,破産を申し立てて

免責を受けるなどして,今後の生活を立て直す方がよいでしょう。

以上

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